なぜ今、サラリーマン投資家が「三菱重工」を見るべきなのか

どうも真下です。

「ニュースでよく見る『防衛費増額』や『原発再稼働』。これらが我々の財布にどう関係するのか、気になりませんか?」

30代はライフイベントが多く、将来の資金が気になる時期です。NISA枠を埋める銘柄を探しているものの、ハイテク株のような激しい値動きには疲れた……そんな方にこそ注目してほしいのが、日本の製造業の頂点「三菱重工業」です。

本記事では、多忙なあなたに代わって、三菱重工の強み、ライバルとの比較、そして見落としがちなリスクまでをサクッと解説します。


概要:日の丸製造業の「本丸」その強みとは

三菱重工業を一言で表すなら「国策企業」です。国が力を入れる分野(=国策)に売り上げが直結している点が最大の特徴です。

主な事業セグメント

  1. エナジー(売上の柱): ガスタービン(世界シェアトップクラス)、原子力発電プラント。
  2. プラント・インフラ: 製鉄機械、物流システム、冷熱製品(エアコン等)。
  3. 航空・防衛・宇宙(成長ドライバー): 戦闘機、ミサイル、H3ロケットなど。

💡ここが強い!

  • 圧倒的な総合力: 陸・海・空・宇宙のすべてをカバーする技術力は、国内他社を圧倒しています。
  • 政府との太いパイプ: 防衛予算の増額は、そのまま同社の受注増に直結します。
  • 円安メリット: 海外売上比率が高いため、円安局面では業績が押し上げられやすい構造です。

業績と株価:右肩上がりの背景にあるもの

ポイント: 株式分割(2024年)により、個人投資家でも手が届きやすい価格帯になっています。

近年の株価上昇トレンドの背景には、以下の明確な理由があります。

  1. 地政学リスクの高まり: 世界的な安全保障への関心の高まりにより、防衛産業への資金流入が加速。
  2. エネルギー安全保障: 脱炭素と電力安定供給の両立のため、原子力や高効率ガスタービンへの需要が復活。
  3. 事業ポートフォリオの改善: 過去の不採算事業(国産ジェット旅客機など)の整理が進み、利益が出やすい体質へ変化しました。

株価チャートを見ると、単なるブームではなく、「稼ぐ力(受注残高)」の増加に伴って株価が上昇していることがわかります。


データ比較:重工3社(三菱・川崎・IHI)徹底比較

同業他社と迷っている方のために、特徴を整理しました。

項目三菱重工業 (7011)川崎重工業 (7012)IHI (7013)
強み防衛・原発・ガスタービン二輪車・ロボット・航空機航空エンジン・橋梁
特徴「王道」の安定感と規模民需(バイク等)の影響大航空宇宙への依存度が高い
こんな人向け王道の安定成長を狙いたい人ロボットなど民需の爆発力を期待航空需要の回復・拡大に賭ける人

重工3社 投資指標比較

銘柄三菱重工業 (7011)川崎重工業 (7012)IHI (7013)
株価4,083円10,695円3,019円
時価総額約14.0兆円約1.8兆円約3.3兆円
予想PER55.3倍18.8倍24.7倍
実績PBR5.61倍2.27倍5.60倍
配当利回り0.58%1.43%0.66%
  • 時価総額の桁違いな差
    • 三菱重工は14兆円規模と、他2社(1.8兆円、3.3兆円)を圧倒しています。「業界の盟主」としての安定感・規模感が数字にはっきりと表れています。
  • PER(割高感)の解釈
    • 三菱重工のPER(約55倍)は、他社(18~24倍)に比べて高めです。これは「現在の利益」以上に「将来の成長(防衛・原発などの国策需要)」への期待が極めて高いことを示しています。「割高だから買わない」のか「期待の表れとして順張りする」のか、投資家の判断が分かれるポイントです。
  • 配当利回り
    • 0.58%と低めに見えますが、これは株価が上昇しすぎた結果(分母が大きくなった)とも言えます。インカムゲイン(配当)狙いというよりは、キャピタルゲイン(値上がり益)狙いの銘柄である性格が読み取れます。

結論: ポートフォリオの「守りの要」として安定感を求めるなら、規模・分散の面で三菱重工が頭一つ抜けています。



リスク:投資前に知っておくべき「死角」

「国策に売りなし」と言われますが、リスクゼロではありません。

  • 為替リスク: 円高に振れると、海外利益の目減りにより株価が調整する可能性があります。
  • 政治リスク: 防衛予算の削減や、原発再稼働の遅れなど、政府の方針転換がダイレクトに影響します。
  • インフレ・コスト増: 原材料費の高騰を価格転嫁できない場合、利益率が圧迫されます。

まとめ

三菱重工業は、短期で2倍、3倍を狙うギャンブル的な銘柄ではありません。しかし、以下の理由から30代が「長期保有」する対象としては非常に魅力的です。

  • 国策に支えられた底堅い需要
  • インフラ・防衛という「無くならない」事業
  • 株主還元(配当増)への期待

「日々の株価変動に一喜一憂せず、じっくりと資産を育てたい」。そう考えるなら、監視銘柄リストの最上位に入れておくべき一社と言えるでしょう。