なぜ今、地味な「通信株」なのか?

どうも真下です。

「S&P500やオルカンだけで本当にいいんだろうか?」

「もっと手元にキャッシュ(配当金)が入ってくる仕組みを作りたい……」

日々仕事に追われる30代サラリーマンにとって、投資は将来の安心を買うための重要なツールです。特に、最近のような相場の変動が激しい時期には、ハイテク株のような爆発力よりも、「持っているだけでチャリンとお金が入る」高配当株に心が惹かれる方も多いのではないでしょうか。

今回は、米国高配当株の代表格であるベライゾン・コミュニケーションズ(ティッカー:VZ)を徹底分析します。

「配当利回りは高いけど、株価が上がらないって本当?」

「AT&Tとどっちがいいの?」

そんな疑問に対し、データを交えて「サラリーマン投資家」の目線で解説します。


ベライゾンってどんな会社?

ベライゾン(Verizon Communications Inc.)は、AT&T、T-Mobileと並ぶ米国3大通信キャリアの一角です。日本でいうところの「NTTドコモ」や「KDDI」のような存在と思えばイメージしやすいでしょう。

【主な事業の柱】

  1. コンシューマー事業: 一般向けのスマホ通信プラン、光回線(Fios)。これが収益の太い柱です。
  2. ビジネス事業: 企業や政府機関向けの通信ネットワークソリューション。

【ベライゾンの強み】

  • 圧倒的なネットワーク品質: 「繋がりやすさ」や「通信品質」において、米国で長年高い評価を得ています。
  • 強力なキャッシュフロー: 通信費は不景気でも解約されにくい「生活必需品」です。そのため、景気動向に左右されず、毎月莫大な現金が入ってきます。これが高配当の源泉です。

業績・株価指標:高配当だが成長性は?

ベライゾンの最大の特徴は、なんといっても「高配当」「割安感」です。しかし、裏を返せば「成長期待が低い」とも言えます。

現在の主要な株価指標を見てみましょう。(※数値は執筆時点の概算)

指標ベライゾン (VZ)評価
予想PER約 8.5倍 〜 9.5倍超割安(S&P500平均の半分以下)
配当利回り約 6.0% 〜 6.8%極めて高い(銀行預金とは比較にならない)
連続増配年数18年以上安定して配当を増やし続けている
ベータ値0.4 前後市場全体が暴落しても動きが緩やか(ディフェンシブ)

【株価の動き】

正直に言います。株価自体の大きな値上がり(キャピタルゲイン)は期待しにくい銘柄です。チャートを見ると、長期的には「横ばい」または「緩やかなレンジ相場」が続いています。

しかし、30代の私たちにとって、これは必ずしも悪いことではありません。「株価の乱高下に一喜一憂せず、配当を再投資して株数を増やす」という雪だるま式の資産形成には最適な動きとも言えます。


データ比較:ライバル企業と比べてどうなの?

米国の通信セクターへの投資を考える際、避けて通れないのがライバルとの比較です。

項目ベライゾン (VZ)AT&T (T)T-モバイル (TMUS)
特徴品質・安定重視メディア事業失敗からの再建中成長重視 (キャピタル狙い)
配当利回り◎ 高い (6%台)○ 高い (5-6%台)× 無配 (自社株買い中心)
株価の勢い△ 横ばい△ 横ばい〜微増◎ 右肩上がり
投資判断インカム(配当)狙いの王道VZより割安だがリスクやや高値上がり益を狙うならコレ

【サラリーマン投資家への結論】

  • 「今すぐ資産を増やしたい(値上がり益)」なら、T-モバイル
  • 「将来のために不労所得(配当)を積み上げたい」なら、財務規律が比較的しっかりしているベライゾンが第一候補になります。

リスク:投資する前に知っておくべき「落とし穴」

「高配当だから安心」と思考停止するのは危険です。ベライゾンにも明確なリスクがあります。

  1. 巨額の負債(借金)5Gネットワークの整備や周波数帯の獲得には兆円単位のお金がかかります。金利が高い局面では、この利払い負担が経営を圧迫するリスクがあります。
  2. 競争の激化T-モバイルの攻勢により、かつて「独り勝ち」だったネットワーク品質の差が縮まっています。顧客獲得競争による値下げ圧力は収益の重荷になります。
  3. 「鉛被覆ケーブル」問題古い通信網に使われていた鉛ケーブルによる環境汚染問題が報じられています。現時点では即時の巨額賠償には繋がっていませんが、将来的な訴訟リスクとして頭の片隅に置いておく必要があります。

まとめ

ベライゾンは、短期間で資産を2倍、3倍にするような銘柄ではありません。しかし、「守りの要」としては非常に優秀です。

【こんな人におすすめ】

  • 日々の株価チェックに疲れたので、放置できる銘柄が欲しい。
  • セミリタイアや老後に向けて、確実なキャッシュフローを作りたい。
  • ポートフォリオがハイテク株に偏っているので、安定株でバランスを取りたい。

【30代サラリーマンへの具体的アクション】

一括で大金を投じるのではなく、「株価が下がって配当利回りが7%近くになったタイミング」や「毎月の給料から数株ずつ」淡々と買い増していく。

そうすることで、あなたが寝ている間も、仕事をしている間も、ベライゾンがチャリンチャリンと小銭を稼いでくれる──そんな「マネーマシン」の一部になってくれるはずです。