はじめに

どうも真下です。

「楽天モバイル、つながりやすくなった?」「ポイント改悪がつらい」

日々、楽天経済圏を利用している私たち30代サラリーマンにとって、楽天グループ(4755)は最も身近な企業の一つです。しかし、投資対象として見た場合、巨額の赤字や社債のニュースに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、楽天グループは今、「創業以来の大きな転換点」にあります。

2025年、ついに見え始めた「本業の黒字化」。これは株価反転の狼煙(のろし)なのか、それとも一時の幻か?

今回は、忙しいサラリーマン投資家のために、楽天グループの現状と将来性をサクッと、かつ深く解説します。


1. 概要:最強の「経済圏」とモバイルの重荷

楽天のビジネスモデルはシンプルかつ強力です。

「楽天エコシステム(経済圏)」と呼ばれる、生活のあらゆるシーンを楽天ID一つで繋ぐ仕組みが最大の強みです。

  • インターネットサービス: 楽天市場、楽天トラベルなど(安定収益の柱)
  • フィンテック: 楽天カード、楽天銀行、楽天証券(現在の稼ぎ頭)
  • モバイル: 楽天モバイル(巨額投資フェーズ→回収フェーズへ移行中)

これまで、ECとフィンテックで稼いだ利益を、すべてモバイルの基地局投資(赤字)が食いつぶす構図が続いていました。しかし、この構図が2025年に入り、劇的に変化しつつあります。


2. 業績分析:赤字縮小、ついに営業黒字へ

投資家が最も注目すべきは、2025年の決算データに見られる変化です。

最新の決算動向(2025年第3四半期時点)

これまでモバイル事業の巨額赤字により、グループ全体でも赤字が続いていましたが、2025年第3四半期(1-9月)において、ついに「営業損益」が黒字転換しました。これは非常に大きなインパクトです。

  • 売上収益: 過去最高を更新(フィンテックとモバイルの増収が寄与)
  • モバイル事業: 契約数は950万回線を突破(2025年11月時点)。EBITDA(償却前営業利益)は黒字化定着。
  • 純損益: まだ赤字(ここが重要!)

株価指標(参考データ)

今の楽天株を判断するための主要指標です。

指標数値目安サラリーマン投資家への解説
株価929.5(2025/12/11現在)底値圏からは脱しつつあるトレンド。
PER (株価収益率)– (算出不可)最終赤字のため算出不可。割安・割高の判断が難しい状態。
PBR (株価純資産倍率)約1.5〜2.0倍解散価値(1倍)よりは高い。将来の成長期待が含まれている。
配当利回り0.00% (無配)財務健全化が最優先のため、配当は停止中。「復配」が発表された時が大きな株価上昇のサイン。

ポイント:

営業利益(本業の儲け)は黒字になりましたが、莫大な借金の利払いなどを含めた「純利益」はまだ赤字です。「完全復活」まであと一歩のところにいます。


3. 同業他社との比較(データ比較)

通信キャリアへの投資を考える際、ライバルとの違いを知ることは必須です。

項目楽天グループ (4755)ソフトバンク (9434)LY (LINEヤフー) (4689)
強み爆発力
経済圏シナジーとモバイルの伸びしろ。
安定と高配当
PayPay経済圏と盤石な通信基盤。
ユーザー数
LINEという圧倒的インフラ。
投資スタンスキャピタルゲイン(値上がり益)狙い
黒字定着後の株価倍増を期待する銘柄。
インカムゲイン(配当)狙い
高い配当利回りでコツコツ増やす銘柄。
再生期待
ガバナンス改革後の再成長待ち。
リスク財務リスク高(社債償還、モバイル黒字化の遅れ)。親会社(SBG)の影響や、成長率の鈍化。LINEプラットフォームの信頼性低下リスク。

30代サラリーマンへの示唆:

「毎月のお小遣いを配当で増やしたい」ならソフトバンク。「リスクをとってでも、資産を大きく増やすチャンスを狙いたい」なら楽天、という住み分けになります。


4. 楽天グループへの投資リスク

「営業黒字化したなら買いだ!」と飛びつく前に、以下のリスクを冷静に見る必要があります。

  1. 「社債」という巨大な借金楽天は今後も数年にわたり、過去に発行した大量の社債(借金)の返済期限(償還)を迎えます。これを返すための新たな資金調達や、金利負担が重くのしかかり、「純利益」の黒字化を遅らせる可能性があります。
  2. プラチナバンドの効果とコストつながりやすさを改善する「プラチナバンド」の運用が始まりましたが、これには新たな設備投資が必要です。投資コストを抑えつつ、本当にユーザー数(=売上)を伸ばせるかが勝負です。
  3. モバイル契約数の頭打ち現在950万回線を超えましたが、目標の1000万回線、その先の損益分岐点を大幅に超えるレベルまで本当に伸びるか?大手3社(ドコモ、au、ソフトバンク)の対抗策も強力です。

5. まとめ:30代投資家はどう動くべきか

楽天グループへの投資は、現在「ハイリスク・ミドル〜ハイリターン」のフェーズにあります。

  • ポジティブ要素: モバイル事業がついに金を稼ぐフェーズに入った(EBITDA黒字)。グループ全体の営業黒字化達成。
  • ネガティブ要素: 最終赤字と有利子負債(借金)の重さ。無配が続く。

【結論】

30代サラリーマンにとって、ポートフォリオ(資産配分)の「サテライト(主力ではない攻撃的な枠)」として少額保有するのは面白いタイミングと言えます。

もし、楽天モバイルが単月で完全に黒字化し、復配(配当の再開)への道筋が見えた時、株価は現在の水準ではないかもしれません。

「普段、楽天ポイントにお世話になっているから、応援の意味で100株だけ持ってみる」

それくらいの距離感で、まずは株価の動きとニュースをチェックしてみてはいかがでしょうか。