【初心者向け】エンベロープとは?設定値やボリンジャーバンドとの違いをわかりやすく解説
はじめに
どうも真下です。
「株価が上がりすぎているのか、下がりすぎているのか判断が難しい」「逆張りのタイミングを掴みたいけれど、どこを目安にすればいいかわからない」
そんな悩みを持つトレーダーにおすすめなのが「エンベロープ」です。
この記事では、移動平均線をベースにしたシンプルかつ強力なインジケーター、エンベロープの仕組みと実践的な使い方を解説します。
1. エンベロープ(Envelope)とは?
- 概要: 移動平均線を基準に、一定の幅(%)で上下に乖離(かいり)させた線を引いたトレンド系(およびオシレーター的要素を持つ)指標。
- 見た目: 移動平均線を「封筒(Envelope)」のように包み込む形になることから名付けられた。
- 何がわかるか:
- 現在の価格が移動平均線からどれくらい離れているか(乖離率)。
- 相場の「売られすぎ」「買われすぎ」の過熱感。

2. エンベロープの計算式と仕組み
- 数式は非常にシンプルです(覚えなくてOKですが、仕組みの理解のために)。
- 中心線: 単純移動平均線(SMA) ※一般的には25日線などが使われます。
- 上部バンド: SMA× (1 + 乖離率)
- 下部バンド: SMA× (1 - 乖離率)
- ポイント: ボラティリティ(変動率)によって幅が変わるボリンジャーバンドとは異なり、エンベロープの幅は常に一定です。
3. 推奨される設定値(パラメーター)
- エンベロープは「どのくらいの乖離率を設定するか」が最も重要です。
- 株式投資(日足)の一般的目安:
- 25日移動平均線を使用する場合
- 大型株・安定株: ±5%
- 中小型株・変動が激しい株: ±10% ~ ±20%
- FX(為替)の場合: 株よりも変動幅が小さいため、0.1% ~ 0.5% 程度に設定することが多い。
- コツ: 過去のチャートを見て、その銘柄が高値・安値で反発している%に合わせる「フィッティング」が必要です。
4. エンベロープの実践的な使い方・売買シグナル
① 逆張り(レンジ相場での活用)
- 基本戦略: 「移動平均線から大きく離れた価格は、やがて平均に戻る」という性質を利用する。
- 買いシグナル: 価格が下限バンドに到達、または突き抜けた時。
- 売りシグナル: 価格が上限バンドに到達、または突き抜けた時。
- 注意点: 明確なトレンドが出ていない「レンジ相場(ボックス相場)」で最も効果を発揮します。
② 順張り(トレンド発生の確認)
- 基本戦略: バンドを大きくブレイクした場合、新しいトレンドの発生とみなす。
- 特に、長期間レンジ相場が続いた後に上限バンドを突き抜けた場合は、強い上昇トレンドの合図になることがあります。
5. よくある疑問:ボリンジャーバンドとの違いは?
表を使って比較すると分かりやすいです。
| 項目 | エンベロープ | ボリンジャーバンド |
| バンドの幅 | 一定(自分で%を決める) | 可変(ボラティリティで自動変動) |
| 得意な相場 | 一定のリズムがあるレンジ相場 | トレンドの発生・収縮の判断 |
| 判断基準 | 乖離率(%) | 標準偏差(σ) |
- 使い分け:
- 「過去と同じような値幅で動いているか」を見たいならエンベロープ。
- 「相場の勢い(ボラティリティ)の変化」を見たいならボリンジャーバンド。
6. エンベロープの注意点・弱点
- 強力なトレンド相場に弱い: 強い上昇トレンド中は、価格が上限バンドに張り付いたまま上昇し続ける(バンドウォークのような状態)ことがあります。この時に「上限だから売り」と逆張りをすると大損します。
- 対策: RSIやMACDなど、他のオシレーター系指標と組み合わせて判断精度を高めるのがおすすめです。
7.エンベロープ × 他指標の組み合わせ手法
エンベロープは「逆張り(行き過ぎた値動きが戻るのを狙う)」で威力を発揮しますが、オシレーター系指標を組み合わせることで、その精度を劇的に高めることができます。
ここでは、プロのトレーダーもよく使う2つの鉄板パターンを紹介します。
1. エンベロープ × RSI(相対力指数)
~「ダマシ」を回避し、高勝率な反転ポイントを狙う~
RSIは「買われすぎ・売られすぎ」を0~100%で表す指標です。エンベロープのバンドにタッチした時、RSIがどのような状態にあるかを確認することで、エントリーの根拠を強めます。
- なぜ組み合わせるのか?
- エンベロープにタッチしても、勢いが強すぎる場合はバンドを突き抜けて伸び続けることがあります(バンドウォーク)。RSIを見ることで「本当に過熱しているか」を数値で確認できます。
【買いエントリーの条件】
- ローソク足がエンベロープの下限バンドにタッチ、または割り込む。
- その時、RSIが30%以下(売られすぎ圏)にある。
- さらに精度を高めるなら: RSIが30%以下から反転して上昇し始めたタイミングでエントリー。
【売りエントリーの条件】
- ローソク足がエンベロープの上限バンドにタッチ、または突き抜ける。
- その時、RSIが70%以上(買われすぎ圏)にある。
上級者テクニック:ダイバージェンス 価格はエンベロープの上限を更新して上がっているのに、RSIの数値は下がっている(勢いが落ちている)現象を「ダイバージェンス」と言います。この現象が起きていれば、強力な反転サインとなり、自信を持ってエントリーできます。
2. エンベロープ × MACD
~トレンド転換を確信に変える慎重派の手法~
MACDはトレンドの方向性と勢いを見る指標です。エンベロープで「そろそろ反転かな?」と当たりをつけ、MACDで「反転した!」という確証を得てからエントリーします。
- なぜ組み合わせるのか?
- 「落ちてくるナイフを掴むな」という格言があるように、下落中にエンベロープに触れただけで買うのはリスクがあります。MACDのクロスを確認することで、底打ちを確認してから安全に乗ることができます。
【買いエントリーの条件】
- 価格がエンベロープの下限バンド付近にある。
- MACDラインがシグナルラインを下から上に抜けた(ゴールデンクロス)タイミング。
- ※エンベロープタッチと同時ではなく、少し遅れてクロスすることが多いですが、その分「確実性」が高まります。
【売りエントリーの条件】
- 価格がエンベロープの上限バンド付近にある。
- MACDラインがシグナルラインを上から下に抜けた(デッドクロス)タイミング。
この手法のメリット 頭と尻尾はくれてやれ、の精神です。エンベロープ単体よりもエントリーは遅くなりますが、強いトレンドに巻き込まれて大損するリスクを極限まで減らすことができます。特に負けが続いている時の「守りのトレード」としておすすめです。
まとめ
- エンベロープは、移動平均線からの「乖離」を可視化する指標。
- 「行き過ぎた価格は戻る」という性質を利用した逆張りが基本。
- 銘柄や相場状況に合わせて、乖離率(%)を調整することが勝つための鍵。
