はじめに

どうも真下です。

「今のうちに買わないと置いていかれる!」

急騰する株価を見て焦って飛びついた直後、まるで狙いすましたかのように急落して含み損に…。あるいは、利益が出ているのに「もっと上がるはず」と欲張って売り時を逃してしまった経験はありませんか?

投資で最も難しいのは、銘柄選びよりも「売買のタイミング」です。

感情や雰囲気に流されて失敗してしまうのは、現在の株価が「高すぎるのか」「安すぎるのか」の客観的な基準を持っていないからかもしれません。そこで強い味方となるのが、今回解説する「移動平均乖離率(いどうへいきんかいりりつ)」です。

この指標を使えば、現在の価格が「平常時」からどれくらい離れているかを数値化し、相場の「買われすぎ・売られすぎ」を冷静に判断できるようになります。高値掴みを防ぎ、適切な利確ポイントを見極めるための必須知識を、この記事でマスターしましょう。


1. 移動平均乖離率とは?

  • 定義: 現在の株価が、移動平均線から「どれくらい離れているか」をパーセンテージ(%)で表した指標。
  • イメージ: 移動平均線を「飼い主」、株価を「散歩中の犬」に例えるのが分かりやすいです。犬(株価)はあちこち動きますが、最終的には飼い主(移動平均線)の元に戻ってきます。リードがピンと張った状態が「乖離率が大きい」状態です。

2. 計算式と仕組み

  • 数式は非常にシンプルです。

$$\text{乖離率(%)} = \frac{\text{現在の株価} – \text{移動平均値}}{\text{移動平均値}} \times 100$$

  • プラス(+): 株価が移動平均線よりにある状態(強気・過熱)。
  • マイナス(ー): 株価が移動平均線よりにある状態(弱気・売られすぎ)。
  • ゼロ(0): 株価と移動平均線が重なっている状態。
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3. 実践!乖離率の目安と売買シグナル

一般的に使われる「25日移動平均線」を例にした目安を紹介します(※銘柄や相場状況によります)。

乖離率(%)状態の判断投資行動のヒント
+10% 以上買われすぎ(天井圏)そろそろ下がるかも? 利益確定 / 売り
+5% 前後上昇トレンド中保有継続
0% 近辺ニュートラル様子見 / トレンド発生待ち
-5% 前後下降トレンド中様子見
-10% 以下売られすぎ(底値圏)そろそろ反発するかも? 押し目買い / 新規買い

ポイント:

大型株や指数(日経平均など)は変動が緩やかなので「±5%」程度、新興市場や小型株は変動が激しいので「±10〜20%」程度を目安にするなど、対象によって調整が必要です。

4. 移動平均乖離率のメリット・デメリット

  • メリット:
    • 「逆張り」に強い: ボックス相場(レンジ相場)で特に威力を発揮します。
    • 視覚的に「高いか安いか」がひと目で分かります。
  • デメリット(注意点):
    • 強いトレンド相場に弱い: 強烈な上昇トレンドが発生している時、乖離率がプラスのまま張り付き、売りのサインが出ても株価が上がり続けることがあります(「ダマシ」)。
    • あくまで「離れ具合」を見るもので、トレンドの方向性を見る指標ではありません。

5. 勝率を上げるための組み合わせ(合わせ技)

単体で使うよりも、他の指標と組み合わせることで精度が高まります。

  1. トレンド系指標と併用: 移動平均線の傾き自体を見る(上向きなら買い目線のみでエントリーするなど)。
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まとめ

  • 移動平均乖離率は、株価が移動平均線に戻ろうとする性質を利用した指標。
  • 「そろそろ反発・反落するかも?」という過熱感の目安として非常に優秀。
  • ただし、強いトレンドが出ている時は機能しにくいので、相場の状況を見極めて使いましょう。