【MFI完全ガイド】RSIとの違いは「出来高」!騙しを防ぐ最強の売買シグナルとは?
どうも真下です。
株式投資やFXのトレードにおいて、「買われすぎ」「売られすぎ」を判断するためにRSI(相対力指数)を使っている方は多いのではないでしょうか?
しかし、「RSIが『売られすぎ』を示しているのに、価格がさらに下がって損切りになった……」という経験をしたことがある方も少なくないはずです。
もしあなたが、より精度の高い逆張り指標や、トレンド転換の予兆を知りたいと考えているなら、MFI(Money Flow Index:マネー・フロー・インデックス)という指標が強力な武器になります。
今回は、RSIの進化版とも言われる「MFI」について、その仕組みから実践的なトレード手法までを徹底的に解説します。
1. MFI(マネー・フロー・インデックス)とは?
MFI(Money Flow Index)は、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を0%から100%の数値で表すオシレーター系のテクニカル指標です。
一言で表現するなら、「出来高(ボリューム)を加味したRSI」です。
なぜ「出来高」が重要なのか?
通常のRSIは「株価の変動幅」のみを見て計算されます。しかし、相場の世界には「出来高は株価に先行する」という格言があります。
- 価格が上昇+出来高も増加 = 強い上昇トレンド(多くの資金が流入している)
- 価格が上昇+出来高は減少 = 弱い上昇トレンド(資金の流入が細っている=下落の予兆)
このように、同じ「株価の上昇」でも、その背景にあるエネルギー(出来高)の量によって、その後の展開は大きく異なります。このエネルギー量を数値化し、より「相場の真実」に近い過熱感を教えてくれるのがMFIなのです。
2. MFIの計算式と仕組み
少し専門的になりますが、計算ロジックを知っておくと指標への理解が深まります。
MFIは以下の手順で算出されます(一般的に期間は「14日」が使われます)。
- TP(Typical Price:典型的な価格)を算出$$TP = \frac{\text{高値} + \text{安値} + \text{終値}}{3}$$
- MF(Money Flow:資金の流れ)を算出$$MF = TP \times \text{出来高}$$
- PMF(ポジティブ・マネーフロー)とNMF(ネガティブ・マネーフロー)に分ける
- 前日よりTPが高い場合:その日のMFをPMFとする
- 前日よりTPが低い場合:その日のMFをNMFとする
- MFIを算出$$MFI = 100 – \left( \frac{100}{1 + \frac{\text{PMFの合計}}{\text{NMFの合計}}} \right)$$
数式を覚える必要はありませんが、「価格変動に出来高を掛け合わせている」という点が最大のポイントです。これにより、単なる値動きだけでなく、市場参加者の熱量(資金量)が反映されます。
3. MFIの基本的な見方・使い方
MFIの使い方はRSIと非常によく似ています。基本的には以下の基準で判断します。
① 「買われすぎ・売られすぎ」の判断
- 80%以上:買われすぎ(売りシグナル検討)
- 市場に資金が入りすぎており、過熱感がある状態です。反落のリスクが高まっています。
- 20%以下:売られすぎ(買いシグナル検討)
- 資金が抜けきっており、売り圧力が弱まっている状態です。反発のチャンスが近づいています。
※一般的なRSIは70/30を基準にすることが多いですが、MFIは値動きが激しくなる傾向があるため、ダマシを避けるために80/20を基準にするのが一般的です。
② RSIとの決定的な違い(具体例)
例えば、株価がジリジリと上昇している場面を想像してください。
- RSIの場合: 株価が上がっているため、数値は上昇し続けます。「まだ強い」と判断しがちです。
- MFIの場合: 株価が上がっていても、出来高が減っていれば数値は上がりません(あるいは下がります)。
「株価は上がっているが、参加者は減っている(人気がなくなっている)」という不穏な空気を、MFIはいち早く察知することができるのです。
4. 【実践編】勝率を上げる「ダイバージェンス」を狙え
MFIをトレードで活用する際、最も信頼度が高いシグナルが「ダイバージェンス(逆行現象)」です。
これは、「価格の動きとMFIの動きが逆になっている状態」を指します。
① 弱気のダイバージェンス(売りサイン)
- 株価: 高値を更新して上昇している。
- MFI: 高値を更新できずに下降している。
意味: 株価は上がっていますが、それを支える資金(出来高)は減少しています。上昇トレンドのエネルギーが枯渇しており、暴落やトレンド転換が近い強力なサインです。
② 強気のダイバージェンス(買いサイン)
- 株価: 安値を更新して下落している。
- MFI: 安値を更新せずに上昇している。
意味: 株価は下がっていますが、売り圧力(出来高)は弱まっています。「スマートマネー(大口投資家)」が密かに買い集めている可能性があり、底打ち・反転上昇の可能性が高いサインです。
5. MFIの欠点と注意点
万能に見えるMFIにも弱点はあります。
① 強力なトレンド相場では張り付く
強烈な上昇トレンドや下落トレンドが発生している場合、MFIは80%以上(または20%以下)に張り付いたまま機能しなくなることがあります。この状態で「買われすぎだから売りだ」と逆張りをすると、踏み上げられて大きな損失を出す可能性があります。
トレンドが明確な場合は、ボリンジャーバンドなど他の指標と併用する必要があります。
② 出来高の少ない銘柄には向かない
MFIは計算式に「出来高」を大きく反映させます。そのため、出来高が極端に少ない銘柄や、普段から商いが薄い銘柄では、少しの注文で数値が乱高下してしまい、シグナルとして機能しません。
ある程度流動性のある、東証プライム上場の大型株や主要な為替ペアなどで使うのが推奨されます。
6. MFIと組み合わせたい相性の良い指標
MFI単体での判断精度をさらに高めるために、他のテクニカル指標との組み合わせをおすすめします。
① MFI × ボリンジャーバンド
- 手法: ボリンジャーバンドの±2σや±3σに価格がタッチし、かつMFIが80以上/20以下のシグナルを出した時にエントリー。
- メリット: 統計学的な「行き過ぎ(ボリンジャーバンド)」と、資金フローの「行き過ぎ(MFI)」を重ねることで、逆張りの精度が格段に上がります。
② MFI × 移動平均線
- 手法: 移動平均線で全体のトレンド方向を確認し、押し目買い・戻り売りのタイミングをMFIで測る。
- メリット: 例えば「上昇トレンド中の押し目」で、MFIが20付近まで下がったところを狙うことで、トレンドに逆らわずに有利な価格でエントリーできます。
まとめ:出来高の声を聞き、ダマシを回避しよう
MFI(マネー・フロー・インデックス)について解説しました。
ポイントをまとめます。
- MFIは「価格+出来高」で相場を見る指標である。
- 基準値は80%以上で「売り」、20%以下で「買い」検討。
- 最強のシグナルは「ダイバージェンス(逆行現象)」。
- RSIよりも「相場のエネルギー切れ」を早く察知できる。
チャート上のローソク足だけを見ていると、どうしても相場の「雰囲気」に騙されてしまいます。しかし、出来高を加味したMFIを表示させることで、その値動きが本物なのか、それともエネルギー不足の見せかけなのかを冷静に判断できるようになります。
まずは普段使っているチャートツールにMFIを表示させ、RSIとの動きの違いや、過去の天井・底値でのダイバージェンスを確認してみてください。きっと、今まで見えていなかった相場の転換点が見えてくるはずです。


