なぜ今、ENEOSなのか?

どうも真下です。

「給料は上がらないのに、物価ばかりが上がっていく……」

私たち30代のサラリーマンにとって、インフレへの防衛策として「投資」はもはや必須科目となりつつあります。しかし、日々の業務に追われる中で、画面に張り付いてデイトレードをする時間などありません。求めているのは、「長期的に安心して持てる」「定期的なインカム(配当)がある」「割安で放置できる」銘柄ではないでしょうか。

そこで今回取り上げるのが、エネルギー業界の巨人、ENEOSホールディングス(5020)です。

かつては「高配当だが株価が動かないオールドエコノミー」の代表格と見られていましたが、2025年に入り、JX金属の上場や構造改革など、大きな動きを見せています。果たして今のENEOSは、私たちのポートフォリオの主役になり得るのでしょうか?


1. 企業概要:圧倒的シェアと「脱炭素」への転換

ENEOSホールディングスは、売上高で日本トップクラスを誇る総合エネルギー企業です。私たちの生活に身近なガソリンスタンド(SS)だけでなく、素材、金属、再エネなど多岐にわたる事業を展開しています。

メイン事業の3本柱

ENEOSの事業は大きく以下の3つに分類されます。

  1. エネルギー事業(石油・天然ガス・再エネ)
    • 国内ガソリン販売シェア約50%という圧倒的な基盤を持っています。この「現金を生む力(キャッシュカウ)」が同社の最大の強みです。
  2. 石油・天然ガス開発事業
    • 海外での資源探査・開発を行っています。原油価格の変動に利益が大きく左右される部門です。
  3. 金属事業(JX金属)
    • 銅やレアメタルなどの資源開発から製錬、電子材料までを手掛けます。※2025年の重要トピックとして、子会社であったJX金属の東京証券取引所への新規上場と、それに伴う株式の一部売却があります。これによりENEOS本体は巨額のキャッシュを手に入れました。

強みと課題

最大の強みは、国内インフラを独占的に握っていることによる「安定したキャッシュフロー」です。一方で、世界的な「脱炭素」の流れは、石油元売り企業にとって存亡に関わる課題です。ENEOSは今、ガソリンで稼いだお金を、水素や合成燃料、再エネといった「次世代エネルギー」へ急速に投資しており、まさに「変革の過渡期」にあります。


2. 直近の業績と株価推移

投資家として最も気になる「数字」を見ていきましょう。

2025年後半、ENEOSの株価は1,000円台を回復し、底堅い動きを見せています。

最新の株価指標(2025年12月時点目安)

索引数値解説
株価1,093.5円年初来安値圏からは脱し、上昇トレンドへの転換を模索中。
予想配当利回り約3.11%1株配当予想は34円(増配)。超高配当とは言えませんが、安定感があります。
PER(株価収益率)約12.9倍日経平均全体(約15倍前後)と比較しても割安な水準です。
PBR(株価純資産倍率)0.94倍「解散価値」とされる1倍を割れています。 是正に向けた株主還元圧力が高まりやすい水準です。

※数値は2025年12月中旬時点の市場コンセンサスおよび直近決算資料に基づく概算です。

2025年度の決算トピックス

2025年の業績における最大のハイライトは、以下の2点です。

  1. JX金属株式の売却益:子会社上場に伴う株式売却により、一時的ですが巨額の利益(親会社株主に帰属する当期利益の大幅増)が計上されています。これにより財務体質が改善し、自社株買いなどの原資が確保されました。
  2. 原油価格下落の影響:2025年後半、原油価格が想定を下回ったことで、保有する在庫の評価損が発生し、本業の営業利益を圧迫しました。これが株価の上値を抑える要因となっています。

しかし、注目すべきは会社側が掲げる「総還元性向50%以上」という方針です。これは、「在庫影響を除いた利益の半分以上を、配当と自社株買いで株主に返します」という約束であり、株主還元の姿勢は非常に積極的です。


3. データ比較:ライバル(出光・コスモ)との違い

同じ「石油元売り」セクターでも、各社で戦略は異なります。ENEOSを検討するなら、必ず比較しておきたいのが出光興産(5019)コスモエネルギーHD(5021)です。

【大手石油元売り3社 比較表】

プロジェクトエネオス(5020)出光興産 (5019)コスモエネ (5021)
業界順位1位(圧倒的)2人3人
強みシェアNo.1、水素・再エネへの先行投資全固体電池(EV向け素材)などの独自技術再エネ(風力発電)に強み、アクティビスト対応
配当利回り約3.1%約3.5%~4.0%約3.5%~4.0%
PBR0.94倍0.8~0.9倍1.0倍以上
特徴組織が大きい分、動きは重厚長大。安定志向。素材・化学へのシフトが鮮明。技術力で差別化。規模は小さいが、風力発電など特定の「強み」が明確。

30代サラリーマンへの示唆:

  • 安定性重視ならENEOS: 業界のリーダーであり、倒産リスクや極端な変動リスクは最も低いと言えます。
  • 利回り重視なら出光: 配当利回りは出光の方が高くなる傾向があり、EV素材(全固体電池)という明確な成長材料があります。

ENEOSは「PBR1倍割れ」の状態にあるため、今後、株価を上げるための施策(増配や自社株買い)が期待できるという点で、「値上がり益(キャピタルゲイン)」と「配当(インカム)」の両取りを狙えるポテンシャルがあります。

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4. 投資する前に知っておくべき「リスク」

「大手だから安心」と思考停止するのは危険です。ENEOSへの投資には明確なリスクがあります。

  • 原油市況・為替の影響(在庫評価損益)ENEOSの業績は、原油価格とドル円相場に激しく連動します。原油が急落すると、持っている在庫の価値が下がり、巨額の赤字決算に見えることがあります(実際のお金の出入りとは異なる会計上の処理ですが、株価は下がります)。
  • 脱炭素コストの増大製油所の統廃合や、水素ステーションの建設には莫大なコストがかかります。これらが利益を圧迫し、将来の配当原資を食いつぶす可能性があります。
  • コングロマリット・ディスカウント事業が多岐にわたりすぎて、「何で稼いでいる会社なのか」が投資家に見えにくくなり、株価が本来の価値より安く放置される現象です。JX金属の分離はこれを解消する一歩ですが、まだ道半ばです。

5. まとめ:30代サラリーマンにとってのENEOSは「守りの要」

ここまでENEOSホールディングスについて分析してきました。

結論:ENEOSは、ポートフォリオの「守り」として保有検討の価値あり。

現在の株価(1,093円付近)とPBR0.94倍という水準は、決して割高ではありません。特に以下の点に魅力を感じるなら、買いのタイミングを探っても良いでしょう。

  1. 累進配当の安心感: 「減配しない(または維持)」という姿勢が明確。
  2. PBR1倍割れの是正期待: 東証の要請もあり、株価対策(自社株買い等)が期待できる。
  3. 変革への期待: JX金属の資金を元手に、次世代エネルギー企業へ変われるかどうかの転換点。

私たち30代にとって、投資は「一発逆転」のギャンブルではありません。長く働きながら、資産もまた着実に働かせる。ENEOSは、そんな「じっくり育てたい資産」の一つになり得る銘柄です。

もちろん、原油価格の変動リスクは常につきまといます。全財産を集中投資するのではなく、ポートフォリオの一部(例えば5〜10%)に組み込み、「ガソリンを入れるたびに、自分にも利益が還元されている」 と感じるくらいの距離感で付き合うのが、精神衛生上もベストな投資法ではないでしょうか。


本記事の内容を参考に、ご自身の証券口座で「5020」と検索し、最新のチャートと「信用倍率」をチェックしてみてください。信用倍率が1倍に近ければ需給は良好、高ければ(売り残が少なければ)上値が重い可能性があります。まずは「監視銘柄」に登録することから始めてみましょう。

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