なぜ「Trix」を使うのか?

どうも真下です。

「移動平均線やMACDを使っているけれど、レンジ相場で『騙し(ダマシ)』に遭ってばかりで利益が残らない……」

投資を始めたばかりの方や、少し慣れてきた中級者の方で、このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

短期的な値動きのノイズに振り回されず、どっしりと構えて大きなトレンドに乗りたい。そんなあなたにおすすめしたいテクニカル指標が「Trix(トリックス)」です。

あまり聞き馴染みのない指標かもしれませんが、実はプロのトレーダーやシステムトレードの世界では、「トレンドの方向性を明確に示す優秀な指標」として重宝されています。今回は、このTrixの仕組みから実践的な売買シグナル、そして注意点までを徹底的に解説します。


1. Trix(トリックス)とは何か?

Trix(Triple Exponential Moving Average)は、1980年代にジャック・ハトソン(Jack Hutson)によって開発されたオシレーター系のテクニカル指標です。

名前の由来である「Triple(3重)」が示す通り、指数平滑移動平均線(EMA)を3回重ねて計算し、その変化率(ROC)をグラフ化したものです。

なぜ「3回」も計算するのか?

通常の移動平均線は、株価の急な変動に敏感に反応しすぎてしまうことがあります。しかし、Trixは移動平均を3回繰り返すことで、短期的な価格のブレ(ノイズ)を極限まで排除しています。これにより、非常に滑らかな曲線を描き、相場の「本質的なトレンド」だけを浮き彫りにすることができるのです。

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2. Trixの計算式と仕組み(数式が苦手な方は飛ばしてもOK)

Trixがどのように作られているかを知ることで、なぜ「騙し」が少ないのかが理解できます。

計算プロセスは以下の4ステップです。

  1. 終値の$n$期間の指数平滑移動平均(EMA)を計算する(シングルEMA)。$$EMA1 = \text{EMA}(\text{Close}, n)$$
  2. その$EMA1$の$n$期間EMAを計算する(ダブルEMA)。$$EMA2 = \text{EMA}(EMA1, n)$$
  3. さらに$EMA2$の$n$期間EMAを計算する(トリプルEMA)。$$EMA3 = \text{EMA}(EMA2, n)$$
  4. 最後に、$EMA3$の1期間前との変化率(ROC)を求める。$$Trix = \frac{EMA3_{\text{current}} – EMA3_{\text{prev}}}{EMA3_{\text{prev}}} \times 100$$

※一般的に、$n$(期間)は9、12、15などが使われます。

この計算式からわかる通り、Trixは「株価そのもの」ではなく、「何度も平滑化された平均値の変化率」を見ています。だからこそ、突発的なニュースで株価が乱高下しても、Trixのラインは緩やかにしか動かず、慌てて売買して損をするリスクを減らせるのです。


3. Trixの基本的な見方と売買シグナル

チャート上では、メインの線である「Trix線」と、その移動平均である「シグナル線」の2本が表示されます。基本的にはMACDと同じような使い方をしますが、より「大きな波」を捉えるのに適しています。

① ゴールデンクロス・デッドクロス(売買エントリー)

最も基本的な使い方は、2本の線のクロスです。

  • 買いシグナル(ゴールデンクロス):Trix線がシグナル線を下から上へ突き抜けたとき。
  • 売りシグナル(デッドクロス):Trix線がシグナル線を上から下へ突き抜けたとき。

【ポイント】

Trixは非常に滑らかな動きをするため、頻繁にクロスが発生しません。一度クロスが発生すると、そのトレンドが長く続く可能性が高いと言えます。

② 0(ゼロ)ラインの突破(トレンド判定)

Trixの値が「0」より上にあるか下にあるかで、相場の強弱を判断します。

  • 0ラインより上: 上昇トレンド(強気相場)
  • 0ラインより下: 下降トレンド(弱気相場)

【実践テクニック】

「0ラインを下から上にブレイクしたタイミング」は、上昇トレンドが確定した強い買いサインとなります。逆に、0ラインを割り込むときは、本格的な下落トレンド入りのサインとして警戒が必要です。

③ ダイバージェンス(逆行現象)

株価は高値を更新して上がっているのに、Trixは高値を切り下げている状態(またはその逆)をダイバージェンスと呼びます。

これは「トレンドの勢いが弱まっている」ことを示唆しており、天井や底が近いことの予兆となります。トレンド転換をいち早く察知したい場合に有効です。


4. TrixとMACDの違いは?どっちを使うべき?

よく似た指標に「MACD」がありますが、決定的な違いがあります。

特徴Trix (トリックス)MACD (マックディー)
計算ベース3重EMAの変化率短期EMAと長期EMAの差
反応速度遅い(ゆったり)速い(敏感)
騙し(ダマシ)非常に少ない普通〜多い
得意な相場長期トレンド相場中・短期トレンド相場
  • Trixが向いている人:中長期投資家、ゆったりと大きなトレンドを取りたい人、兼業で頻繁にチャートを見られない人。
  • MACDが向いている人:短期売買、デイトレーダー、トレンドの初動を早めに捉えたい人。

両方を表示させて、「MACDで早めのサインを確認し、Trixで確信を得てからエントリーする」という合わせ技も有効です。

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5. Trixの弱点と注意点

「騙しが少ない」という最強のメリットを持つTrixですが、弱点もあります。それは「遅行性(ラグ)」です。

3回も平滑化処理を行っているため、どうしても株価の動きに対してサインが出るのが遅れます。

そのため、急騰・急落するような相場や、短期間で上下を繰り返す小さなレンジ相場では、サインが出た頃にはもう相場が終わっている(天井で買って底で売ってしまう)という事態になりかねません。

【対策】

Trix単体で使うのではなく、反応の早いオシレーター系指標(RSIやストキャスティクス)を併用するか、ローソク足のプライスアクションそのものをしっかり確認することで、弱点を補うことができます。

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まとめ:Trixで「待てる投資家」になろう

Trixは、派手さはないものの、相場の大きな流れを教えてくれる非常に信頼性の高い羅針盤です。

  • 短期的なノイズを除去できる
  • 「騙し」が少なく、無駄なエントリーを減らせる
  • 大きなトレンドをじっくり利益に変えるのに最適

「いつも売買しすぎて損をしてしまう(ポジポジ病)」という方は、ぜひ一度チャートにTrixを表示させてみてください。Trixがシグナルを出すまで「待つ」ことができるようになれば、あなたのトレード成績は劇的に安定するはずです。

まずは過去のチャートで、Trixがどのように機能しているか検証してみることから始めてみましょう。

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